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【書籍紹介③】現役商社マンが語る!!「僕たちはファッションの力で世界を変える~3~」

 

こんにちは。

ふく たびおです。

 

 

今回は前回までの書籍紹介の続きです。

 

「前回記事」

fuku-to-fukutabi.hatenablog.com

 

 

前回までで聡と清史のペルーでの転機と2人の活動について紹介しました。

今回は2人の活動における精神的な原動力についてを中心に解説していきます。

 

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1、世の中の不条理へ立ち向かう原動力

 

ここまでの解説記事でもわかるように、2人は世の中に蔓延する不条理や不公平に葛藤を感じています。そんな世の中を変えていくことが2人の活動です。

 

別に2人の周りだけが特別不条理な環境で溢れているわけではありません。

私たちの周りにだって多かれ少なかれ存在するはずです。

きっと気付いている人も多いはずです。

でも、それを見過ごしたり流してしまう。

それに立ち向かうのはとても労力のかかることだから。

 

世の中の不条理に気付くのは簡単ですが、それに立ち向かい行動を起こすことこそが難しいのです。実行出来るのは一握りの人たちです。

 

では、聡と清史の2人が不条理に、しかも他人に対する不条理に立ち向かうことが出来る原動力はどこからきているのでしょうか。

 

本書籍紹介の1つ目の記事で紹介した通り、2人はデンマークで生まれ育った日系二世です。2人は1980年代に幼少期を過ごしましたが、当時デンマークでは日本人どころかアジア人すら珍しく、そのせいで心無いいじめにあっていました。

 

2人の前には幼い頃からそんな不条理という壁が立ちはだかり、2人は常にそれを乗り越えようと様々な努力をしてきました。

その経験が不条理に対する怒りと、それに立ち向かう勇気を養ったのだと思います。

 

 

2、関心を持つことで世界を変える

 

本書ではアパレル業界の労働環境に関する不条理の事例として、バングラデシュのラナプラザ倒壊事故が挙げられている。

 

これは2013年に起き、1,000人以上が死亡した同国で過去最悪の産業事故です。

バングラデシュはその労働賃金の安さから繊維製品の縫製地として有力です。

ヨーロッパからの発注が中心ですが、日本でもバングラデシュ製のものは増えてきています。ラナプラザは縫製工場が入っているビルのことです。

 

本来は5階建てのビルとして建築されましたが、より生産を増やす為に3階分を違法に増築されていました。倒壊前日にはビルに亀裂が発見され、使用中止の警告を受けましたがビルのオーナーはこれを無視しました。そして、翌日に悲劇が起きたのです。

従業員たちは事故の恐れのある建物の中で強制的に働かされていたのです。

 

工場=下請け/途上国の人々=安い労働力と捉えている業界が引き起こした悲劇です。

※今はそいうった風潮も少しずつ改善されてきています。

 

「参考記事」

www.fashionsnap.com

 

 

途上国で生産されている服を否定するつもりはありません、全ての企業がそういった考え方だとは思いませんし、服が安く手に入ることでお金のない若者も十二分にファッションが楽しめています。

 

ただ、このようなことに無関心にならないで欲しい、お店で商品を手に取る時に一瞬でもいいからその背景にあるストーリーを想像してみて下さい。

生産拠点が海外に移ることで、倒産してしまった日本の縫製工場だって多くあります。

安く仕入れることが出来るアパレル企業と安く購入出来る消費者にとっては良いことかもしれません。でも、想像して下さい。その人たちの生活は?

 

アパレル業界の課題ではありますが、皆さんの意識と見る目が課題解決の力にだってなります。一番ダメなのは無関心です。それが、相手に甘えを許します。

皆さんの力を貸してください。少しでもいいです、集まれば大きな力になります。

 

 

一方、聡と清史は無関心の対極にいます。

逆境や失敗にだってめげずに突き進んでいく2人に周囲の人々は心を動かされていきます。そうして、2人は自分の力になってくれる人々と次々に出会っていくのです。

 

 

次回の記事では2人の協力者との出会いと活動の発展について解説していきます。

 

熱が入ってしまい、長くなりましたが本日は以上です。

 

 

 

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