【書籍解説】現役商社マンが語る!!「誰がアパレルを殺すのか~第2章~」
こんにちは。
ふく たびおです。
前回に引き続き「誰がアパレルを殺すのか」の解説を行っていきます。
今回は第2章~戦後のアパレル産業の勃興から黄金期までの歩み~についてです。
全4章なので、ここでおおよそ折り返し地点ですね。
本章ではアパレル産業の黄金期について語られています。
短めの章なので内容で区切らずに一気に解説していきます。
アパレル産業の黄金期は高度経済成長の後半にあたる1970年代とされています。
高田賢三 (KENZO)、三宅一生 (ISSEY MIYAKE)、山本耀司 (Yohji Yamamoto)、川久保玲 (COMME des GARCONS)などの日本を代表するデザイナー達がファッションの本場パリでも活躍していた時代です。
また、ビギやニコル等のDCブランドブームが到来した1980年代も省くことは出来ないと思います。
これらの時代、セール前には若者が前日から徹夜で並ぶことが当たり前だったようです。今ではなかなか考えられないですね。
筆者はこのような時代を
「黄金時代でもあり、失われた時代でもある」としています。
黄金時代であることは前述からも明らかですが、なぜ失われた時代でもあると言えるのでしょうか。
それは、利益が出て経営に余裕があったにも関わらず人材育成に投資してこなかったからです。
時代の追い風に乗って急成長を遂げたアパレル産業は、一方で深く考えることや人材こそ宝だと考えて育てることを軽視するようになってしまったのです。
そのツケが1990年代のバブル崩壊以降、次第に強さを増す時代の向かい風に対する苦戦となり返ってきました。
アパレル産業が一世を風靡時代の人々のライフスタイルは現在、見る影もありません。
刻々と、そして確実に変化している消費者のライフスタイルに合わせた価値を創造し、提案していくことが必要不可欠です。
また、昨今世間で騒がれているコロナウィルスの問題も人々のライフスタイルの変化に拍車をかけることは間違いありません。
インターネット通販の普及以降、IT業界のアパレル参入が著しくなりました。
今はIT業界のような一昔前までは他業界だった業界との境界線もほとんど無くなりました。つまり、他業界の強みを活用しながら本業のアパレル産業で価値を提供していく必要があります。
当然、そこに求められる人材の能力は昔より高くなっていることでしょう。
今はかつての黄金時代と違い、経営に余裕がなく厳しい時代です。
しかし、ここで人材育成に力を注げないとアパレル産業に未来はないでしょう。
「固定費を賄う売上の確保」や「設ける為の売上拡大」ではなく、
「お客様が喜ぶことの追求」という意識の下でこそ、人々のライフスタイルが多様化し、これからもその変化を続けていくこの時代に本当の価値が提供出来るのだと思います。
章のタイトルの黄金期までの歩みというよりも、黄金期以降の話に焦点を当ててしまいましたね・・・。
次回は第3章「IT系など業界の外からアパレル産業に参入する新興勢力」についてです。