【生地の学校㊷】「天然繊維 "ウール"~アルパカ~」
こんにちは。
今回は生地の紹介記事です。
今回もウール素材の代表的な原料の1つを紹介させて頂きます。
「アルパカ」
ラクダ科のアルパカから取れる毛のことを指します。元々はペルーやボリビアの南米高地が主な産地です。高地での過酷な寒さに耐えるための保温性と特殊な繊維構造による軽さが特徴です。
「参考画像」
今や日本でもよく見かけますね。
一時のブームも記憶に新しいです。
昔からその上質な繊維で衣類を作るなど、現地の人々の生活には不可欠な存在でした。
以前、書籍紹介でアルパカにまつわる物語を紹介したことがあります。
4つの記事にわたる長い話ですが、個人的にかなり熱が入った記事です。
「参考記事」
fuku-to-fukutabi.hatenablog.com
ニットやショールなどに用いられることが多い素材です。
THE INOUE BROTHERSのニット本当にいつか欲しい・・・。
本日の紹介は以上です。
【生地の学校㊶】「天然繊維 "ウール"~モヘヤ~」
こんにちは。
今回は生地の紹介記事です。
今回もウール素材の代表的な原料の1つを紹介させて頂きます。
「モヘヤ」
アンゴラ山羊の毛のことを指します。アメリカ・トルコ・南アフリカが主な産地です。毛の長さと手触りの柔らかさが特徴です。
前回のカシミア同様のヤギの毛です。
また、呼び方も"モヘヤ"と"モヘア"の2通りが存在していることも同じですね。
こちらも"モヘヤ"が正式名称となります。
「参考記事」
fuku-to-fukutabi.hatenablog.com
「参考画像①」
毛の長さが見てわかりますね。
この素材特徴から毛足の長いニット等に用いられることが多いです。
「参考画像②」
「参考画像③」
毛足が長い素材の特性を活かす為、甘撚りの生地が多いです。
その為、摩擦によって毛が抜けやすいのが難点ではあります。
今回の紹介は以上です。
【業界情報⑫】ユニクロ 本気のリサイクルダウン
こんにちは。
今回は業界トピックの紹介記事です。
ユニクロ(UNIQLO)が不要になった同社の服を回収し、新たな価値を与えるプロジェクである"RE.UNIQLO"の始動を発表しました。第一弾としてリサイクルダウンを使用したダウンジャケットをUNIQLO Uのラインから販売予定としています。
「参考記事」
RE.UNIQLOの"RE"は3Rの「RECYCLE」・「REUSE」・「REDUCE」に由来しています。
同社は将来的には本気で全商品をリサイクルやリユースとして活用する独自の循環型モデルの確立を目指しているようです。
先日OPENした銀座店でもREUSEの視覚的な打ち出しを行っていましたね。
「参考画像」
キャッチフレーズは"あなたのユニクロ、次に生かそう"です。
流石のキャッチャーで素敵な響きですね。
「企業サイト」
コロナショックの影響もあり抗ウイルス素材などが急遽話題になり、サスティナブルは下火になっていましたが本来はこちらが本流だと思います。
いずれ、サスティナブルな取り組みが必須となる時代がやってくるでしょう。
決してトレンド的な一過性のものではなく、普遍的な必要なこととして浸透していって欲しいものです。
本日の紹介は以上です。
【生地の学校㊵】「天然繊維 "ウール"~カシミヤ~」
こんにちは。
今回は生地の紹介生地です。
今回はウール素材の代表的な原料の1つを紹介させて頂きます。
「カシミヤ」
インドのカシミール地方を起源とするカシミヤ山羊の毛のことを指します。今では中国やチベットなどでも飼育されています。繊維の宝石とも称される程の細く滑らかで艶のある毛質が特徴です。
要するにウール(羊毛)は羊の毛ですが、カシミヤは山羊の毛です。
素材イメージ的なわかりやすさも踏まえて今回はウール分類で紹介させて頂きます。
※次回以降で紹介するその他の原料についても同様です。
「参考画像①」
「参考画像②」
その最大の特徴はやはり柔らかく滑らかな風合いです。
これはカシミヤの繊維が細くスケール(鱗のようなもの)が少なく、適度な油分が含まれていることが要因です。
1頭あたりから採取出来る毛の量がウール(羊毛)に比べて極端に少ないという希少性も繊維の宝石と呼ばれる由縁です。
そんな希少な素材ですが、今ではかなり身近になっておりよく見かけます。
ユニクロでもセーターの取り扱いをしていますね。
「商品サイト」
ちなみに"カシミヤ"と"カシミア"と2通りの表示が見受けます。
厳密には家庭用品品質表示法でカシミヤと記載されており、販売されている商品もそうなっています。
しかし、実際はカシミアと呼んでも何ら問題ないと思います。
今回の紹介は以上です。
【業界情報⑪】抗ウイルスのトータルウェアブランド 販売開始
こんにちは。
今回は業界トピックの紹介記事です。
繊維専門商社のヤギが抗ウイルス素材のトータルウェアブランド「VIBTEX™(ビブテックス)」を立ち上げ、9月16日から販売が開始されました。
「参考記事」
素材は高橋練染のDEOFACTOR®Antivirus(デオファクター アンチウィルス)の加工が施されたものを採用しており、Tシャツからコートまで約14アイテムを販売予定です。
「加工技術について」
コロナ禍以降、抗ウイルス素材がかなり増えました。
その機能性を試す試験は来年以降まで時間がかかってしまうほどです。
コロナショックを経た今、様々なウイルスと共存していくためにもこういった服の需要は今後も増えてくるのでしょうか。
個人的には一時的なものかと思います。
慣れたり忘れたりすることが人間の短所であり長所であり、数年後には気にしない人の方が多いのではないでしょうか。
自分もきっとその一人です。
これまでのコロナ自粛の反動もあってか、このシルバーウィークは多くの人が遠方を含め外出をしていたとニュースで目にしますが、その一例かと思います。
一方、素材を販売するためのPRにはとてもいいと思いました。
今回の紹介は以上です。
【生地の学校㊴】「天然繊維 "ウール" ~梳毛と紡毛~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です。
どうしてもこの手の記事の更新が多くなってしまいますね。
他にこんなこと紹介して欲しいや説明して欲しいということがあればどんどんリクエスト下さい。自身の知識の範囲でお答えさせて頂きます。
今回紹介するのはウール生地の種類についてです。
梳毛と紡毛、初めて耳にする方もいるのではないでしょうか。
聞いたことがある方も梳毛が春夏素材で紡毛が秋冬素材というイメージ程度かと思います。
それでは、それぞれについて紹介していきましょう。
「梳毛」
梳った(くしけずった)毛のことです。繊維に櫛を通すことで短い毛が取り除かれ長い毛が一方方向に平行に揃えられます。光沢感と滑らかな風合いが特徴です。
皆さんが仕事の際に着用しているスーツ等はほとんどが梳毛の素材です。
春夏の定番素材のトロピカルかるがその代表組織です。
先日紹介させて頂いた組織ですね。
「参考生地」
fuku-to-fukutabi.hatenablog.com
「生地例①」
「紡毛」
繊維を梳らず、あえて短い繊維などの不均一なものを含み方向も一方方向に整えていない毛を指します。糸が均一に揃えられておらず太く毛羽が多いので光沢はなく粗野な雰囲気に仕上がります。
秋冬のウール素材であるツイードが代表的な素材です。
「生地例②」
人間の髪の毛で想像して頂いてもその差はイメージしやすいかと思います。
梳毛=春夏向け / 紡毛=秋冬向けというのも間違いではありませんが、正しくは上記の違いになります。実際、梳毛の秋冬素材は多いです。
今回の紹介は以上です。
【生地の学校㊳】「天然繊維 "ウール" ~メリノウール~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です。
前回はウール素材について大まかに紹介させて頂きました。
その際、ウールとはメリノ種の羊毛を指すと説明しました。
「前回記事」
fuku-to-fukutabi.hatenablog.com
メリノ種?となった方も多いかと思います。
今回はそんなメリノウール(メリノ種)について紹介をしていきます。
「メリノウール」
繊維が細く柔らかくて肌触りが良いのが特徴です。その起源はスペインですがオーストラリアに持ち込まれ、現在では同国が半分近くの生産量を占めるトップとなります。
繊維の細さによる肌触りの良さと体温調節や耐臭性に優れていることからアウトドアウェアやインナーに使われることもしばしばあります。
Icebreaker等が有名所でしょうか。
また、様々なサイトでメリノウールは高級品とされていますが今や比較的リーズナブルに手に入る素材です。
例えば、ユニクロなどでもセーターで取扱いがあります。
流石にこの価格は破格かと思いますが・・・。
日本に輸入されているウール原料もその大半がメリノウールです。
特別指示はしていなくてもメーカーに確認したらメリノウール原料を使用した生地だったなんてことも多々あります。中国の生地でもです。
風合いの良さは折り紙つきですが、それくらいポピュラーな素材です。
本日の紹介は以上です。
【生地の学校㊲】「天然繊維 "ウール"~概要~」
こんにちは。
今回は生地の紹介記事です。
前回までは綿素材について紹介してきました。
今回からはウール素材について紹介していきます。
意外と夏にもよく用いられるウール素材ですが、これからの秋冬シーズンの方がその割合は多くなります。
この機会にぜひウールのことを知っていきましょう。
「ウール」
一般的にメリノ種の羊毛のことを指します。最古の高機能繊維と呼ばれるくらい様々な機能を有している天然繊維です。最大の生産国はオーストラリアで世界の生産量の約半分を占めています。
一口に羊の毛と言ってもその種類は多岐にわたります。
代表的なものは随時紹介していく予定です。
綿素材と同様に様々なアイテムに用いられるウール素材ですが、そのメリットとデメリットは以下の通りです。
■メリット
・吸湿性が高い
・体温調節に優れている
・耐臭性がある
・染色性が良い
・シワになりにくい
■デメリット
・毛羽立ちやすい
・虫食いに注意が必要
・洗濯すると縮みやすい
メリットとして様々な機能があります。
一部ではスポーツウェアとして用いられることもあるようです。
「参考画像」
WOOL MARK COMPANYのサイトもなかなかにイケてます。
簡単ですが、以上がウール素材の概要です。
次回からはもう少し深掘りした内容を紹介していきます。
【業界情報⑪】取り扱い200種以上!?マスク専門店OPEN
こんにちは。
今回は業界トピックの紹介記事です。
イオングループのコックスがファッションマスク専門店の"Mask.com"を東京の八重洲地下街にオープンしました。500円から10万円まで幅広いマスクを200種以上取り扱いしています。
「参考記事」
取り扱い種類の数もさることながら、10万円のマスクってすごいですね・・・・
どんなものか興味がとてもあります。
コロナショックを機にマスク着用がエチケットとして定着しつつあります。
しかし、マスク着用に対する考え方や事情は様々だと思います。
最近でも飛行機でのマスク着用拒否騒動を巡って賛否両論あります。
正直、私自身はマスクが苦手なので早くマスク着用が不要な世の中になって欲しいなと思っています。
"マスク着用してない=悪"ではなく、それぞれの都合を理解していくことも大切です。
とは言え、豊富な種類からマスクを選べて少しでも皆がマスク着用を楽しめるきっかけになるのは喜ばしいことです。
ただし、アパレル業界特有のトレンドに乗ってつくり過ぎることは避けて欲しいものです。
今回の紹介は以上です。
【生地の学校㊱】「天然繊維 "綿"~BCI ~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です
綿素材についての紹介は今回で一旦終了とします。
「BCI 」(Better Cotton Initiative)
綿花栽培の持続可能性を高め、より良いものにしていこうとす取り組みです。綿花栽培の生産者/環境/産業にBetterにすることをゴールとしています。その認証を受けたものBetterコットンやBCIコットンと呼びます。
オーガニックコットンをBestとした場合のBetterと捉えて頂くとイメージしやすいと思います。
オーガニックコットンはその厳しい基準から実施が難しく、それゆえに引ける番手(糸の太さ)も制限があります。
それに対しCotton USAやBCIコットンが存在ます。
今回の紹介は以上です。
【生地の学校㉟】「天然繊維 "綿"~COTTON USA~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です。
連日ご覧頂いている方はもう綿素材についてかなり詳しくなっていると思います。
今回紹介するのはここ数年で増えている綿素材です。
「COTTON USA」
国際綿花評議会(CCI)の管理の下、生産されているアメリカ産の高品質な綿花です。
最新の技術を駆使することで効率的な生産体制だけでなく、水や農薬を必要な場所にのみ散布するなどサスティナブルへの配慮も実現しています。採取された綿花は一俵ごとに繊維の長さ/細さ/強さが機関の厳しい基準をクリアしているかチェックされます。
識別番号によりどの綿花がどの地域で栽培されたものか追跡可能なトレーサビリティも兼ね備えています。
「参考画像」
ロゴマークも爽やかでクリーンな印象ですね。
品質×サスティナビリティ×トレーサビリティを兼ね備えた綿素材です。
それぞれのどれかに突出しているのではなく、バランスが保たれている印象です。
最近では店頭でもCOTTON USAの下札がついているものをしばしば目にします。
皆さんも気にしながら見てみて下さい。
本日の紹介は以上です。
【生地の学校㉞】「天然繊維 "綿"~オーガニックコットン~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です。
綿の紹介も残すところあと2~3つくらいにしようと思っています。
今回はオーガニックコットンについてです。
特段新しいものではありませんが、エコやサスティナブルがトレンドになっていることもあり再注目されています。
基準の生産方法に従って2~3年以上の生産実践を経た上で認証機関に認められた農地で、農薬や肥料の厳格な基準を順守して生産された綿花。
オーガニックコットン素材の認証の基準としてはここ最近GOTS(Global Organic Texitile Standard)が有名ですが、かなり厳しい基準です。
よくある勘違いとしてオーガニックコットンは高品質だから価格が高いというものがりますが、とにかく手間がかかることが大きな要因です。
オーガニックとしての厳しい基準を守るためには当然手間がかかり、認定を受けるためにもお金がかかります。
1990年代に農薬の使用がピークに達し、その中でも世界の使用量のうち約20%以上が綿花の栽培に用いられていました。
当然、健康に対する悪影響も少なくありません。
環境と生産者を守るサスティナブル(持続可能)な綿花がオーガニックコットンです。
しかし、その普及はまだまだ多いとは言えません。
皆さんが日々の買い物の際にオーガニックコットンを選択することで、それがトレンドとなり普及も多くなるかもしれません。
本日の紹介は以上です。
【生地の学校㉝】「天然繊維 "綿"~液アン加工~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です。
連日同じ内容ですいません。
綿の解説までは連投でやり切ろうと思ってます。
今回も綿素材に施される代表的な加工の紹介です。
「液アン加工」
液体アンモニア加工の略語です。綿素材を液体アンモニアに浸すことで繊維を内部から膨潤させます。そうすることで繊維の一本一本が丸く滑らかになります。また、形態安定性(防しわ性)が高くなることも特徴です。
ワイシャツなどで形態安定と表示されているものはこの手の加工がほとんどです。
もちろん、形態安定性の強弱によって薬剤や濃度が違う場合もあります。
アイロンってめんどくさいですよね。
私は服好きな方だと思いますが、それでもアイロンは苦手です。
出来る事ならしたくない・・・。
多くの方のめんどくさいを解決してくれる加工です。
本日の紹介は以上です。
【生地の学校㉜】「天然繊維 "綿" ~シルケット加工~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です。
前回は綿の原料の中でも最高品質を誇る世界三大綿について紹介しました。
生地の風合いは原料の良し悪しや番手で決まりますが、加工によって調整することもできます。今回は綿素材に対する代表的な加工を紹介していきます。
「シルケット加工」
綿の繊維や糸を苛性ソーダ溶液につけた状態で引っ張り、綿の繊維の断面形状がシルクのそれのように変化します。それにより綿素材でシルクのような光沢感等を生み出す加工です。海外ではマーセライズ加工と呼ばれるのが一般的です。
以前、紹介したUNIQLO UのTシャツもこの加工が施されています。
マーセライズ〇〇と称されたアイテムが他にも見られます。
「参考生地」
fuku-to-fukutabi.hatenablog.com
シルクのような上品な光沢を持ちながら、扱いやすさは綿と同じ。
綿素材でもラフになり過ぎないところが嬉しいですね。
次回も綿素材に対する加工の紹介をさせて頂きます。
本日の紹介は以上です。
【生地の学校㉛】「天然繊維 "綿"~世界三大綿~」
こんにちは。
今回も生地の紹介記事です。
前回は綿の中でも高級な部類となる超長綿について紹介をしました。
今回はその中でもトップを誇る世界三大綿について説明をしていきます。
世界三大綿と言われるのはスーピマコットン(アメリカ)・ギザコットン(エジプト)・新疆綿(中国)の3つです。
「スーピマ コットン」
アメリカの南西部で収穫されるピマコットンの中でも最高品質なものです。
Superior Pimaの略語からつくられた商標となります。
スーピマコットンの名を使用するにはアメリカのスーピマ協会が定めた厳しい基準を満たす必要があります。
「ギザ コットン」
エジプト綿の一種でピラミッドで有名なギザ地方で収穫される高級な綿です。
別名を白いゴールドと言われることもあり、GIZA45はエジプトの超長綿の中でも最高品質を誇ります。
「新疆綿」
他の超長綿よりも比較的入手しやすく、とくに打ち出しをすることもなく新疆綿の糸を使用している生地も多いです。
それぞれの素材を扱った経験がありますが、スーピマコットンについては苦い思い出があります。
当時、高品質×機能性のハイブリッド生地の開発を試み、スーピマコットンとCOOLMAX(吸汗速乾機能糸)を組み合わせた素材を開発しました。
ところが、スーピマⓇはスーピマコットンが100%の生地でないと使用出来なかったのです。(生地の綿サイドは全てスーピマコットンなのに・・・)
事前確認が甘いと上司から怒られました、当然ですね。
本日の紹介は以上です。